システム開発におけるBusiness Process Re-engineering（ビジネスプロセス・リエンジニアリング）
(ア) アプローチ
1. 現状業務の可視化（As-Is分析）
現在の業務フロー、役割、システム利用状況を把握
- 1. 各部門へのヒアリング・現場観察
- 2. 業務フローチャート作成（BPMNなど）
- 3. 問題点・非効率・重複作業の洗い出し
- 4. 業務ごとのコスト・時間分析（ABC：活動基準原価計算）
2. 課題の特定と改善方針の策定
目的: 業務上のボトルネックや不要業務を明確化
- 1. 課題の優先順位付け（影響度×実現性）
- 2. 手作業・紙処理の自動化対象の抽出
- 3. 改善目標（KPI）設定
3. To-Be業務の再設計（業務改革案）
理想的な業務フロー・組織設計を構築
- (ア) 再設計された業務フローの作成
- (イ) 業務標準化・シェアードサービス化の検討
- (ウ) 新業務に対応する組織・役割の提案
- (エ) システム導入の前提要件として仕様提示
4. ITシステムとの連携設計
新業務を支えるためのシステム機能要件を整理
- 1. システム要件と業務プロセスの整合確認
- 2. 業務→システム機能へのマッピング
- 3. RPA、ワークフロー、ERP、CRMなど活用候補の提示
- 4. システム投資のROI試算
5. 業務・組織変更の導入支援（チェンジマネジメント）
目的: 改革案を社内で定着させる。
活動内容:
- 部門横断プロジェクトの立ち上げ支援
- 利用者教育・説明資料作成
- 試験運用・本番移行支援
- 利用状況モニタリングと改善指導
6. 成果測定と継続改善支援
目的: BPRの成果を定量的に把握し、継続的改善につなげる。
活動内容:
- KPI進捗の定期レポート化
- 改善効果の測定（例：処理件数、処理時間、エラー率）
- 追加業務の見直し・最適化提案
(イ) システム開発BPR例
① プロジェクト管理業務の再設計
1. 背景・課題
- (ア) 案件ごとに異なる進捗管理方法（Excel多用）
- (イ) 工数・原価管理が煩雑
- (ウ) 上層部へのレポート作成が手作業
2. BPRアプローチ
- (ア) 開発の標準ステップを導入。開発ステップ毎にゲート管理
- (イ) 共通テンプレートによるドキュメント、WBSの全社標準化
- (ウ) クラウド型プロジェクト管理ツール（例：Backlog、Redmine、Jira）を全社導入
- (エ) 原価と実績をリアルタイムで可視化（BI連携）
② 不具合対応業務の抜本的見直し
1. 背景・課題
- (ア) 顧客からの問い合わせが属人化
- (イ) バグ報告の記録がEメールベースで混乱
- (ウ) 品質改善が後手に回っていた
2. BPRアプローチ
- (ア) 問い合わせ管理をチケット制に（Zendesk、Freshdesk等）
- (イ) バグトラッキングを一元化（Jira、Backlog）
- (ウ) QA部門との連携ルールを明確化し、フィードバックループを設計
③ 運用業務の自動化による省力化
1. 背景・課題
- (ア) 夜間バッチやアラート対応が手動
- (イ) 定期的な監視業務が属人的
- (ウ) 作業ミスや対応漏れが頻発
2. BPRアプローチ
- (ア) ジョブ管理ツール（例：JP1、JobScheduler）でバッチ自動化
- (イ) アラート対応をRPA＋メール／Slack通知に
- (ウ) 運用マニュアルの見直しとシステム連携化